会話を聞く

 

※録音の内容を、 方言辞典の会話表記を参考にして、文字にしてあります。
【会話】ひとかしら→ひとかずき→ひとかたげ


「一遍入ってくのをなあ(潜るのを)ひとかしら言うのなあ。みかしら(三回潜る)、まあ気張ろか言うて、上りしなん(上がりぎわに、間際に) みかしら、まあ気張っとけ言うて ひとかしら、ふたかしら言う。そしてひとかずき 一回かずく(潜る)のおを ひとかずき。」
「ひとかずきなあ」 
「ひとかずき。朝潜きとか、昔ゃみいくら(三回)しよったよってん、朝かずき、中かずき ゆ(夕)かずき、言うてな、みいくらしよったけど(三度していたが)、今しゃ(今は)朝とよさ(夜、午後)と 二回入るだけ。 朝かずき まあ今日は何もはざんかったよってん(全く駄目だったから)中かずき 大漁せなとか ゆかずき(夕かずき)に採らなとか言てな。」
「朝かずき言うのは何時ごろ」
「朝 九時ごろや」
「何時ごろまで」
「十一時ごろまで 入っとんねやろな 二時間ぐらい
いまは おりて(海女作業が解禁になって)直ぐは 一時間ぐらいやなあ さぶいよってんな(寒いから) 三月ぐらいはな 口開けてからは(解禁にしたとき)寒いよってんな 一時間くらい それからまた 月な 代わって ぬくとお(暖かく)なると 一時間半とか二時間とか言うて ぬくとなってくるごとに(度に)時間な(が)なんごお(長く)なるの。 二時間ぐらい 暖くとなってくると おって(潜って居て)あがって(陸にあがって)ひとあたりしといて(火で暖をとっておいて)また降りて(海に入って)、また二時間ぐらいなあ。
今しゃ旗なあがるとな ひとかしらもおりられやへんね 旗なあがったら だめ 昔ゃまあせい(精)しだいや」
「中かずき言うのは何時ごろ」
「中かずきいうのは 十二時から一時  今しゃ十二時から二時、三時ごろまでやな」
「夕かずき言うのは二時ごろかな」
「夕かずきゆうのは 今しゃな 朝と昼と二回やけど わたしらのときはな 三回やもんでな」
「わたしらの時のこと言わなな 昔のことやよってんな」
「三回やよってんな 三時から四時ごろまでな まあ夕かずきはちょいちょいっとやけどな 島影な立ってきてなあ かずいとると暗ごうて 夕かずきゃ はざんなあ 島影な立ってきてなあ言うてな 陽な正面におると明るいんけど ちょいとかたぐと(少し傾くと)な島の影なできてきて 暗ごうて 島影な立ってきてはざんようゆうてな 夕かずきゃ」
「島の東の方へ来とると」
「影ができてきてな まあ底へいても(潜っても)めえにくい(見えにくい)もんでな まあ夕かずきは島影な立ってきてなあいうて 島影な立ってこんうちん(来ない間に) はよおりよや 10分でも20分でも早よ切り上げる時もあるしな まあ 喋っとると遅なってきてな 夕かずきは島影が立ってくんない 早よ 降りやええねけど 言うてな」
「ひとかずきゆうのは 夕かずきとか朝かずきとかいうのを 一回」
「一回入んのを 朝入んのは朝かずき 昼から入んのを中かずき言うしな 夕方んのを夕かずき」
「これは舟から降りて 舟へ上がるまでを ひとかずき」

「ひとかたげ」
「ひとかたけ ご飯をひとかたけゆうの」
「朝飯 ひとかたけ ひとかたけ抜くや 言うてな 朝飯食わんとな 昼ひとかたけ抜いたとかな いちじき(一食)抜くとな ひとかたけ ひとかたけ抜いたとかな ひとくら(1回)食わんとおるとな まあ ひとかたけ抜くやれ 朝寝しとて」